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2018-06

切迫早産…

お腹が頻回に張る、出血を繰り返す、子宮頚管長が短縮する…いずれも切迫早産の症状です。
切迫早産とは、妊娠22週0日〜妊娠36週6日の期間に分娩となるの危険性がある場合の総称です。
早産で生まれて場合には、その生まれた週数により児の体の未熟性によって様々な後遺症が起こる事があります。
妊娠27週で約1000g以上の体重があれば、その他の合併症を起こさなければ十分に正常発育が期待できます。
これに対して、妊娠22〜23週前後では、そもそも生存の可能性が厳しく、生存しても様々な後遺症の可能性が高くなります。

早産の原因としては、子宮筋腫や子宮奇形と言った子宮の形態異常、膣炎・子宮頚管炎・絨毛羊膜炎等の炎症反応、仕事を含めた過労や仕事・家庭環境におけるストレスなどがハイリスクと考えられています。

子宮の形態異常は、妊娠前あるいは妊娠初期の超音波検査で分かりますが、有効な治療方法はありません。

膣炎・子宮頚管炎・絨毛羊膜炎等の炎症反応は、顆粒球エラスターゼ検査や頸管粘液分泌物癌胎児性フィブロネクチン検査などで、早産や破水をある程度予知する事が可能になりました。

以前より共働きの妊婦さんが増え、妊娠時の年齢が明らかに高齢化した事、インターネットの普及に伴い『妊娠は病気でないので、仕事も遊びも今まで通り』のような誤った情報があふれているため過労やストレスによる要因は、なかなか難しい問題です。

以前より使用していた、切迫早産の治療薬『いわゆる張り止め』のウテメリンは、欧米で使用禁止になった事を受けて、最近では内服薬の使用はしない事が多いようです。また点滴による使用も48時間以内の使用の方針になって来ました。
つまり、薬剤による切迫早産の治療方法は100%の効果は期待出来ない事になります。

これらの事から、以前に比べれいわゆる切迫早産の患者さんは減少しているどころか、増加傾向にあるように思います。
もちろん、切迫早産の妊婦さんが全て早産になるのではありませんが、やはり注意が必要なの間違いありません。


少し古臭いようですが、早産の予防に大切な事は以下の事でしょうか…。
 ①お腹が張ったら休む 
 ②ストレスを溜めない 
 ③仕事は労働基準法の規定を守って、残業や出張・リスクの高い業務は避ける 
 ④旅行やレジャーに関しては体調を優先して、予定を優先しない 
 ⑤経産婦さんの場合にはご主人の理解と協力が不可欠

共働きの妊婦さんの場合には、特にお主人の理解・協力が大切なように思います。

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Leopardenfrosch

Author:Leopardenfrosch
赤ちゃんには、未来・夢があります。

お母さんたちが“良いお産”を経験
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赤ちゃんの未来・夢を応援したい…

ひとりの産科医として、心から願っています。


   いのうえクリニック
   川崎市宮前区宮崎5-14-2
   ℡044-870-4152

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